Folding@home project (FAH) は主にタンパク質の折りたたみ、タンパク質の折りたたみ異常や凝集に起因する疾患の解明、そして新薬開発のための新しい計算法の開発を専門としています。ここでは、私たちの目標や何をしているのか、そしてこれまでのハイライトを簡単に説明します。

分散コンピューティングプロジェクトは何百万台ものPCで計算を行うだけではありません。特に査読付きの業績や公開講座などFAHの結果をより多くの科学界に広める方法で結果を出さなければなりません。様々な分野での進歩をサイドバーのリンクからご覧ください。

またFAHの進歩や新規プロジェクトについての最新情報がFolding@homeブログに掲載されています。

タンパク質の折りたたみとは何なのでしょうか、どのように病気と関係しているのでしょうか?

タンパク質はアミノ酸がネックレスのように繋がった長い鎖状分子です。そして生物の生命現象を担う基本的な物質です。酵素として生命維持に必要な生化学反応のすべての原動力となっています。また、骨や筋肉、髪の毛、皮膚、血管の主な構成要素となっています。さらに抗体として体内に侵入してきた外敵を識別し免疫系が排除することを可能にします。これらの理由から科学者たちはヒトゲノム配列-全てのタンパク質の設計図-を決定しようとしてきました。しかし、これらのタンパク質が何をしているのか、どのように機能しているのかを理解するにはどうしたらいいのでしょうか?

実はヒトゲノム配列を知っているだけでは、そのタンパク質が何をしているのか、どのように機能しているのかについてはほとんどわかりません。酵素や抗体のようにタンパク質が機能を持つには特定の立体構造に“折りたたまれ”なければなりません。つまり、タンパク質は自ら組み立てられ機能を持つ、驚くべきマシンなのです! そして、この自己組織化を“折りたたみ(folding)”と呼びます。

タンパク質が正しく折りたたまれていない場合はどうなるのでしょうか?

アルツハイマー病やハンチントン病、嚢胞性線維症、BSE(狂牛病)、肺気腫の遺伝的形態、さらには多くの癌などの疾患は、タンパク質の折りたたみ異常に起因すると考えられています。タンパク質が誤って折りたたまれると、より集まり塊になる現象、凝集が起こります。これらの塊はしばしば脳内で発生し、狂牛病やアルツハイマー病の症状を引き起こすと考えられています。